本日行われました、トップチーム監督交代およびスタッフ体制の変更についての記者会見を実施いたしましたのでお知らせいたします。
〈代表取締役社長 秋田豊〉
本日はお忙しい中、足を運んでいただいてありがとうございます。みなさんには体制の変更についてご説明をするためにお集まりいただきました。監督をGMである神野卓哉にやってもらうことになりました。中三川(哲治)前監督はヘッドコーチに、金成勇ヘッドコーチがコーチに変更となります。ほかのメンバーは変わりません。
監督交代の理由については、0-9の福島での大敗、シーズン三分の一ではありますが、13試合でリーグ最下位という現状が大きな要因です。神野GMに監督になってもらったことに関しては、指導者としては女子サッカーチームの監督をしていましたし、高いレベルでの選手経験がある、横浜FCなどでの強化担当の経験もあるということ。J3のサッカーがどんなリーグであるか知っていることから話をさせていただきました。
本人も本来、強化が監督になるのはあるべき姿ではないといっていましたが、今のクラブには新しく監督を呼ぶだけの財力がありませんし、そういった意味では神野しか頼める人材がいないということで了承してもらいました。
〈神野卓哉新監督〉
こんにちは。はじめにいわてグルージャ盛岡創設20周年の節目のシーズンに、13節を終えて最下位という結果になってしまったことは、中三川前監督や現場スタッフ・選手だけの責任ではありません。自分もチームに携わっていた人間としてサポーター、スポンサー、みなさまに申し訳ないと思っています。
ただ、25試合残っているので、下を向いてこのままいくわけにはいかないので、今日も選手たちには言いましたけど、闘う姿勢を今以上に出してもらって、闘う気持ちをベースにグルージャのサッカーを、中三川前監督が築いてくれたことにプラスして戦っていきたいと思っています。
今まで以上にトレーニングから厳しいトレーニングをして、相手と闘う、相手に走り負けないことを目指して、まずは降格圏外にいくことを目の前の目標として少しでも上に行けるようにしたいです。まだ6位(プレーオフ)という可能性もゼロではないので、そこについても見えてくれば目指していきたいし、順位を上げていきたいなと思います。
Q.解任の決断の時期、新監督オファーの時期を教えてください。
〈秋田〉
本当は昨年、中三川前監督と3人くらいの候補がいて神野に話はしていましたが、そのときには受けてもらえませんでした。最終的にルヴァンカップのC大阪戦くらいから「ここから5試合が勝負で、下位と当たることも多いので決断をしよう」と。もし変えるのであれば神野にやってほしいという話はしていました。
Q.メンタル面を含めて、巻き返しに向けて必要なことは何でしょうか。
〈神野〉
先ほど申しましたが、普段からのトレーニングに取り組む姿勢、試合では1対1、球際、その辺がまだまだ弱いので、気持ちを強く、もちろん体も強くプレーする。そういったベースのところをしっかりと立て直せば上向けるのかなと思っています。
Q.ここ数試合はチームの状態が落ち込んでいると感じていましたか。
〈神野〉
そうですね。はい、まさに。私も選手でしたが0-9は経験したことがないので、かなりのメンタル的な傷を負っていたと思います。今日のミーティングでも選手には「みんなならできる。自信を持ってほしい」ということは伝えました。
Q.昨年中三川監督の続投を発表した際、「J3からJ2に上がる戦い方を知っている」という話をされていましたが、今季は何がダメだったんでしょうか?
〈秋田〉
1番はチームを一つにまとめることができなかったところがあります。いろいろな選手がベテランから若手までいて、それを同じ方向に向かせることができなかったことが1番の原因だったと思います。
Q.選手の入れ替わりが多かったのも要因でしょうか?
〈秋田〉
長く一緒にいる時間があると、選手たちも甘えが出てしまうので、それに対して(中三川監督は)あまり厳しく言うタイプではないのでみんなが自由に、自分の好きなことを言い出してしまったというのがあると思います。
Q.中三川監督をヘッドコーチに残す理由は何でしょうか。
〈秋田〉
もともとユースの監督をお願いしていて、本当に昨年無理をいって監督をお願いした人材です。僕も長い間知っていますし、神野との関係も非常にいい。チームのことも1番わかっているので、そういう人間がいて、神野がサポートを受けながらやってもらうのが1番いいのかなと思って、決断しました。
Q.うまくまとめることはできなかったけど、ともに時間を過ごしてきたことでチームのことをいちばん理解しているという認識でよろしいですか?
〈秋田〉
もちろん。チームをまとめるのは監督だと思います。全体をみてどういう方向に行くのか。ピリッとしなければいけないところはピリッとしなければいけない。僕も監督していたので、時には厳しいことを言わなければいけないし、厳しいトレーニングもしなければいけない。そればかりでもダメなんですけど、そういうことができる人材なので神野にしたというところがあります。
Q.指揮を執っているのは今日の練習からですか?
〈神野〉
はい、今日の午前中の練習からです。
Q.中三川監督が築いてきたことにプラスアルファしたいところはどんなところですか?
〈神野〉
ボールを握るとか握らないではないんですけど、簡単にボールを失っているので、簡単に失わないようにしたいと思います。そういうと、みなさんサッカーをご存じなので、バルセロナやマンチェスターシティを想像するかと思います。できたらそういうところまでやりたいんですけど、そこまで急にはできませんし、私もそこまで優秀じゃないのでそこまではできないと思うんですけど。そういうのではなくて速いサッカーをしなければいけませんし、中三川監督がスペースを狙うサッカーをしていましたが、そこの精度を上げること、そしてそれができないときにどうするかはプラスアルファとしてできるようにしようと考えています。
Q.こういうトレーニングをしようというのはありますか?
〈神野〉
はい、なんとなくあります。
Q.後任監督として神野さん以外の選択肢はありましたか?
〈秋田〉
昨年から思っていたので基本的にはなかったですね。もうひとつあるとしたら自分しかなかった。ただ、自分は社長業としてやることが多すぎるので現場にはい絶対戻れないですし、神野とは様々な場面でサッカーの話、サッカー観の共有はできていたし、1番自分のやってほしいサッカーを理解していると思い決断しました。
Q.中三川監督も秋田社長が目指すサッカーに適任だということで続投が決まりました。その中で今回神野監督に変わったということについてはどのような変化がありますか?
〈秋田〉
1番の目的は規律と球際での戦い。ここをもっと強度を高くすることが目的だと思います。中三川監督がなかったわけではないですが、伝えきれなかったところは多かったと思います。
Q.直近でのチームの立て直しについて、修正したいところを教えてください
〈神野〉
失点が多いので守備は絶対に改善しなければいけないと思っています。ただ、失点ゼロでも得点がなければ勝点は1なので、その辺もしっかりしなきゃいけないのかなと思っています。
Q.理想のチーム、目指すサッカーについて教えてください。
〈神野〉
ちゃんと伝えるとなると3日間くらいかかるんですけど。例えば、相手が前からきたら裏は空きます。スカスカになったら間を通す。前から来るのであれば裏のスペースを突く、リトリートする相手であればスペースつくる動きやポジショニングをしなきゃいけないと思います。理想は、攻撃に関してはなんでもできることが理想。マンチェスターシティも前から来たら一本のパスで裏のスペースを使う。めちゃくちゃ質は高いですけど。スペースをつくる動きプラスボールを回せるようなチーム。守備に関しては前から奪いに行って、はがされたらブロックを素早く形成して奪いに行く。イニシアチブをとった守備ができるチームが理想です。
Q.補強などは考えていますか。
〈神野〉
まずは、今できる選手が多くいると思っています。できない選手がいるとなると、今までの自分の仕事を自分で否定しなければいけなくなるので、今の選手を輝かせたいと思います。
Q.昨年のオファーを断った理由について、そして今回受けた理由について教えてください。また正式にオファーを受けたタイミングについて改めて教えて下さい。
〈神野〉
昨年は簡単に言えば自分がやるイメージがわきませんでした。強化やGMから現場に立つのは違うというのもありました。今回受けたのは拒否権がなかったです(笑)。というのは冗談ですけど。去年一年間自分が獲得した選手をみていて、また中三川監督と一緒にいろいろな話が出来ました。彼が残ってくれることもあり、彼が今出来ていないことが明確にわかっていたので、それをやるだけだし、彼もサポートしてくれるというところで去年よりはイメージが沸いたのはあります。正式にオファーを受けたのは八戸戦の前日朝8時くらいです。電話で秋田社長から「ちょっと厳しいんじゃないか」ということで。私は八戸に勝てばまた違ってくると思っていましたけど、秋田社長の中では天皇杯予選を挟むことでリーグまでは時間があるからというのもあってオファーを受けました。
Q.初めての男子のチーム、そしてJ3の監督というところで気を付けたいことを教えてください。
〈神野〉
女子の方が気を付けることがたくさんあったので、そのときよりは気を付けることは少ないとは感じています。今は自信をなくしている部分があると思うので、そこを取り戻せるようにというのは意識したいと思っています。矛盾するかもしれませんが、厳しくもやらなければならないといいましたが、それもやりつつ選手が自信を持てるようにしていきたいと思っています。
Q.現役時代は攻撃的な選手として活躍されました。得点力を伸ばすために必要なことは何でしょうか。
〈神野〉
僕が感じていたのはゴール前にFWがいないことが多いということです。クロスの時にいない、ゴール前の人数が少ない。組み立てにも関わるんですけど、FWはゴール前にいなければいけない。ゴール前に入ってフリーでクロスに合わせられれば、うちの選手であれば決めることはできると思うので、そのあたりは伝えていければと思います。
Q.どういうサッカーをサポーターにみせたいか教えてください。
〈神野〉
まずは闘う、走り切る、気持ちで負けない。当たり前のことを当たり前にできるチームをつくって勝点を伸ばしたいと思っていますので、その辺をみていただき、応援してもらえればなと思っています。
Q.去年、今年と2年連続で解任。秋田社長の任命責任も少なからず大きなところがあると思いますが、秋田社長ご自身はどのようにお考えでしょうか?
〈秋田〉
すべて僕の責任だと思います。選手、監督、GMなど、人事に関して最終的な決断をしていますので。僕に去ってほしい、社長から退いてほしいというのであれば僕はいつでも退きます。それでクラブが成り立つのであればそれが1番いいと思います。僕がいることが全てではありません。違う人がやったほうがクラブとしてよくなるのであれば僕はいつでも退きます。
Q.まだ期待しているサポーターや県民はいると思います。そういった方にはどのように説明されますか。
〈秋田〉
2020年に僕がきたとき、ゴール裏には20人くらいしかいませんでした。そこからJ2に上がってたくさんの人がきてくれるようになって、毎試合のようにゴール裏に来てくれるようになりました。それもいろいろな方々に助けてもらってサポートしていただいて、僕自身、+1といっていることをスタグルにいるときにも「連れてきましたよ」と言ってくれる。そういう一人一人が支えてくれて僕たちは成り立っていると思います。
正直、心が折れそうになる時もたくさんあります。運営のこと、クラブハウス建設、スタジアム問題、チームのことたくさん考えなくてはいけないことがあります。。ただ、サポーターが喜んでくれる姿が僕のモチベーションになっているので、そういう方々に少しでも勝っているシーン、みんなが笑顔になれるシーンをつくりたいし、できればみんなで分かち合って優勝する、昇格する、そういうシーンを一緒につくっていきたいと思います。
僕自身足りないところはたくさんあると思います。ただ僕は前を向いていくしかない。クラブが成長するために自分が何をしなければいけないかを考えなければいけません。いろいろなことを言う方がいるのもわかっていますし、言われても致し方ないと思っています。でもそれに負けていたら僕は社長をやっていませんしグルージャを上に引き上げるためにやっていきたいと思います。
Q.選手が解任と新監督就任を知ったのはいつですか?
〈神野〉
今日の朝のトレーニング前のミーティング時です。いまの数字を話しました。順位、どこを目指すのかを明確にしました。まずは残留圏内。昨年の13節終了時点の順位や勝点を参考にして話をしました。うろ覚えのところもありますが、勝点10の相模原が最終17位でそこが勝点を積み上げたケースとしてあります。もう一つは最終的に6位の鳥取が、13節終了時点から勝点41を積み上げたことを伝えて、選手に不可能ではないことを伝えました。
Q.けが人もいるかと思いますが、復帰の見通しなどは立っていますでしょうか?
〈神野〉
見通しは立っていますが、具体的な時期についてはあまり言いたくないので言わなくてもいいですか?
Q.はい、ありがとうございます。今シーズンの目標はどこに位置付けていますか?
〈神野〉
最終は、最低でも勝点40にしなきゃいけないという話はしました。最低です。昨年の相模原が41だったので、わかりやすく40という話をして、そこからもっと上をみるんだという話はしました。あまり高いところを目標にすると、不可能だと感じる選手もいると思うので、そうはしたくなかったのでそういう伝え方をしました。
Q.先ほど秋田社長からは中三川監督の評価の部分で「チームを同じ方向に向かせることができなかった」とお話がありました。神野監督はGMという立場から、中三川監督の続投決断時にあった期待と実際に指揮されてからのギャップについて、どのように感じていましたか。
〈神野〉
昨年、中三川監督に代わったときに、雰囲気が良くないというか基本的には監督が代わるときってそうじゃないですか。その中でああいう人柄の人がチームに入ったときに、選手がのびのびできていたなというのは感じていました。ただ、先ほど秋田が言ったように、厳しさとか規律が少し緩んでいたのかなというところなんですけど、そこはギャップというかもっとやってほしかったところではあります。
Q.神野さんが監督になるということで、GM職はどうされるのでしょうか?
〈秋田〉
今季に関しては神野監督に兼任でやってもらうことになります。
Q.先ほど、最低で勝点40というお話がありました。シーズン開幕前は優勝、昇格ということでしたが、13試合を消化して現実的な目標にシフトしたということでしょうか。
〈神野〉
現実的なところをまず目指すという意味です。そこは強調したいなと思います。上はもちろん目指したいので。まずは最低限のところをやりながら、連勝していくと上は見えてくるので、そういう意味で伝えました。
Q.今季は降格もあります。岩手県にプロクラブを残すという部分について秋田社長の思いをお聞かせください。
〈秋田〉
たくさんの方々の思いでこのクラブはあると思います。20年の中でいろいろなことがあって、いろいろなオーナーになり、いろいろな社長になって、いろいろな問題を起こしたりしながら、いろいろなことがあったクラブであり、20年だったと思っています。
このクラブをJリーグにしっかり残して、岩手県の人たちの心の支えになれるようなクラブにしていきたいと思いますし、もっと上、J2、J1を目指せるようなクラブにしていきたいなと思います。